恋の魔法に
ぶんぶんと思い切り首を横に振った。
「ふふっ。嘘だよ」
志帆はほんとうにやりそうだから怖い。
チャイムが鳴って椅子を引く音が教室のあちこちから聞こえる。
志帆は何もなかったように手をパッと離し前を向いた。
うーっ……志帆め……!
次は私がやってやるんだから!
その可愛い顔をぎゅーっと……ぎゅーっと……
「ねえ、莉子。自分の世界から早く帰っておいで」
シャーペン片手に志帆がまたこちらに体を向けた。