恋の魔法に
人だかりの方へとスタスタ歩く後ろ姿を見つける。
ちょ、志帆ーっ!
置いてかないでよぉーっ!
「葉山先輩!」
慌てて追いかけようとした私を結城くんが呼び止めた。
「単語帳ありがとうございました」
「あぁ! いえいえ。どういたしまして」
受け取ろうと手を伸ばすとひょいっと単語帳は上へと移動した。
それにつられて視線をあげる。
ニッと笑う結城くん。
へ……なに?
な、なんか結城くんが意地悪なんですけど!