恋の魔法に



「結城くん……っ」




誰にも届くことのないこの声。
名前を呼んでも返事してくれない。



いつのまにか廊下にはもう誰もいなくて私一人だけだった。
教室の前にしゃがんでいる変な人。


もし誰かに見られたら絶対そう思うよね。



肩にかけていた鞄が腕にずり落ちて
かけなおすのも面倒でそのまま放置。



今ひどい顔してるんだろうなぁ。
部活行きたくないよー……




「葉山先輩!」




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