恋の魔法に


頭上から降ってきた声に顔を上げると同時に首元にふわっとやわらかい物が巻かれた。



視界に映るのは白色のマフラー。

白くて細い指。



私はすかさずその手を掴んだ。



「貸してもらっていたマフラー……返すの忘れてました」



私の目線に合わせてしゃがむと小さく笑う結城くんと目があった。


こんな近くで見たのは久しぶり。


会いたかった人が目の前にいる。

早く伝えなきゃ。
ほら、早く言わなきゃ。


今のこのタイミングを逃したくない。



「……っ、結城くん!」


「はい?」




うるさいぐらいに鳴っているこの胸の声
君に聞こえちゃえ。



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