恋の魔法に
「結城くんが好き」
掴んだままでいるその手にぎゅっと力を込める。
おねがい、伝わって。
―――届け。
瞬き一つしない結城くんをじっと見つめる。
その瞳が揺れた気がした瞬間、手を引かれ体がふわっと床から浮いた。
気づけば結城くんの腕の中にいて。
肩口に顔をうずめる結城くんの髪が頬に触れて少しくすぐったい。
優しく締め付けるような腕に応えるように私はそっと結城くんの背中に手をまわした。
「好きです、先輩」
耳元で囁かれて一気に体温が上がる。
さっきまですごく寒かったはずなのに。
寒いなんて感じなかった。