恋の魔法に


「おねーちゃん! ばいばい」


アメを舐めているのか右頬だけ膨らんでいる。

女の子の小さな手には私があげたアメの袋が握られていた。


「ばいばい!」


手を振ると女の子も振りかえしてくれた。

お母さんと目があい、小さく会釈をする。


「……あ、冷めちゃいますね! 早く食べますか」

「う? うん……」


話はあれで終わりなのかな?

でも、なんでいきなり私の話になったんだろう。

というか、結城くんの観察力には驚いたな。
自分の試合だったのに全然内容覚えてなかった。


ドキドキと鳴っている胸は気にしないことにしてたこやきを口の中に入れた。


ん、まだ熱い!
おいしい~!


< 86 / 255 >

この作品をシェア

pagetop