【短編】彼氏は女子恐怖症
次の日、何か話しかけてくるかなと思ってたら和真は話しかけてこなかった。
いつもあたしから話しかけているから当然なんだろうけど寂しいよ。


「真央、彼氏のとこ行かないのー?」

「えっ、うん。今日はね・・・」


軽く苦笑いをして何とかごまかした。
“行かないの”じゃなくて“行けないの”なんだよ。


「いつもウザイぐらい行ってたのに!」


友達は冗談で言ってるんだろうけど今の自分には痛い言葉だった。

和真、ウザがってたの?
あたし・・・ウザかったならゴメンね。
あたしって本当にダメな彼女だ。


「和真は、あたしの事・・・ウザがってるのかな・・・。」


小さく呟くあたしを見て友達は困った表情を浮かべた。
あたしは、耐え切れなくなり教室から出て裏庭へと一人で向かった。

授業をサボッたのは今回が初めて。
裏庭の綺麗な青々とした草の上に座り込んだ。


ふと空を見上げると眩しい太陽が目を細める。
ギラギラと明るい光を放ち暑い太陽。
それに吸い込まれそうな青空が広がっている。
太陽とは逆に、あたしの心には雨が降りそうな暗い暗い大きな雲がある。
今にも雨が降りそうな心を抑えて和真の事を考えた。

いつも女の子と話さないで、あたしが話しかけてまともに会話は続かなくて・・・。
あたしだけが和真を好きみたいだよね。

和真は覚えてるかな?
昨日は、あたし達の記念日だったんだよ。
いつも覚えてくれてる和真なのに昨日は何も言ってくれなかった。

記念日だからってプレゼントとかは貰わないけど「記念日だね」って話しをしてくれたのにね・・・。
自分から、あまり話さない和真でも言ってくれてたのに。

バタバタと誰かが走ってくる様な足音が耳に入る。


「あっ、真央・・・!」


声のする方に視線を移すと走ってくる和真の姿が見えた。


「・・・和真?」


和真は大きく肩を上下させて大分、走り回ったのがわかる。
そして和真は手に小さな小包を持って、あたしに「はい」と差し出した。
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