タイムマシン
「綾、どうした?」



キャンドルに照らされたグラスから視線を上げると



彼が私の目を覗き込んでいた。




「ううん・・・・大丈夫だよ」



あの人と離れてから出会った彼。



あの人とは違う、安心を与えてくれた人。




真っ直ぐな愛情であの人を忘れさせてくれた。




結婚するんだろうな・・・・・この人と・・・・。




そう分かっていても



心があの人を求め始めていた・・・・・





1人帰る自宅の部屋で、

私はパソコンを開いた


「志賀 正宗」


マウスをクリックした。





あの人のバンドのいろいろな情報の中に書かれたファンの声




「最近の志賀の曲は絶望感がある____・・・・



「何かに取り憑かれたように曲作って


毎日2時間とかしか寝てないらしい_____・・・・・


「声も出てないらしいよ____・・・・・






あの人の苦しみが書き綴られていた。













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