インモラルな憂鬱。
「ごめん、飲みすぎた」
そう言って、あたしは夏目の体から自分の体を離す。
夏目には、なぜか自分の弱い部分を見られたくないのだ。
けれど。
「俺なら、あんたのこと全部分かってやれるけど?」
ふいに夏目がそんなことを言ったものだから、あたしは思わず顔を上げてしまった。
その夏目の顔はどこか自信に満ちていて、男をチラつかせながら不敵な笑みさえこぼしている。
もう一度抱きしめると、今度は囁くように夏目は言う。
「2人でイケないことしよっか」
その日を境に、あたしは夏目からいちいち目が離せない。
彼の真意は分からないが、夏目にだって彼女はいるのに。
「はぁ…」
彼を見るたび、あたしは背徳的なことを考えてため息ばかりだ。