雨、スズラン、少女
 
少女は意を決したように歩き出す。

白いソックスと、艶やかなふくらはぎが雨を跳ね上げる。

緊張しているのが、少女の強張った背中から感じられた。



少女は迷っていた。

心に重いものを抱えつつ、踏み出す足は今にもこの場から逃げ出してしまいそうだった。

「エンコー」

そう呼ばれる行為を、彼女は今から行おうとしている。

喫茶店はその待ち合わせの場所だ。

 
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