【BL】木枯らし
屋上のドアを開けると冷たい風が俺を迎えた。
「寒っ………」
一歩踏み入れると、風は更に冷たく感じた。
屋上を見渡すと、一つの影。
誰もいないと思っていたのに、そこには一人、風に吹かれてる奴が居た。
俺が数歩歩くと、こちらに気がついた。
氷のように冷たい表情が、冬にピッタリだなって思った。
「……何してるの?」
尋ねた俺に彼は笑った。
笑うと、ひだまりのような温かな印象になって。
今度は春にピッタリだと思った。
「そっちこそ。」
「……退屈だったから。散歩」
「へぇ。俺も」
彼は柵に手を乗せ、さらにその上に顎を乗せて、眼下に広がる景色を見ていた。
俺も倣(ナラ)うように彼の隣で同じ態勢をする。
眼下には枯れた木々。