【BL】木枯らし
「あれ何の木?」
「桜。春になると満開になる。」
「桜好きなの?」
「……いや、嫌いかな。」
彼はちょっと寂しそうに笑った。
「なんで?」
「なんでも。」
「訳わかんない。」
「うん。」
「変な奴」
「ははは」
声高らかに笑ったこいつは、ユウと名乗った。
「そっちは?」
「?」
「名前」
「大翔(ヒロト)」
「じゃあヒロだな。」
勝手に呼び名を決められた。
「見かけない顔だ。最近入院した?」
「一昨日から。風邪こじらせた。」
「ああ、じゃあすぐ退院出来るんだ?」
「まぁね。」
相変わらず視線は枯れた木々。