【BL】木枯らし



俺は順調に回復して、本当はいつでも退院出来るんだけど…

まだ病院に居座っていた。


理由は屋上。


ユウと話したいから。



「今日も来たんだ?」
「……悪い?」
「いや、嬉しい。」



ユウは素直な奴だ。

思ったことを真っ直ぐにぶつけてくる。



だから信頼できた。

だから一緒にいて楽だった。



「ヒロ、退院いつ?」
「うーん…いつでも出来るって言われた。なんで?早く居なくなってほしい?」
「逆。居なくなったら寂しいなって。」



純粋に嬉しいと思った。



「そう言えばさ、ユウはまだ退院出来ないの?」
「そうだね。まだかな。ああ、でも……あと二週間ちょっとで、ある意味退院か。」
「なにそれ?」
「俺ね、」



下を見ていた目が、俺を見た。

そして笑った。


「もう少しで死ぬんだ。」


そう言われた瞬間、全ての時が止まったように。
風の音さえも聞こえなかった。
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