バッドエンドにさよならを

「大切な人が死ぬことはひどくつらいことだよな。俺は妹のことが大切だった。だからこそ、あの男が憎かった。妹の命を奪った、お前の父さんが憎かった。あいつの血を引き継いでいるお前も憎かった。でもな、気づいたんだよ。お前も母さんのことを大切に思っていただろう?俺と同じだったんだなって。お前は被害者だったのに。つらく当たってしまって悪かった。」

今まで、伯父さんは冷たい人だと思っていた。俺のことを見下し、軽蔑の眼差しで見てくる。この人が俺の気持ちを考えてくれる日が来るなんて思ってもいなかった。

「…確かに、お母さんのことは大好きやったよ。でも、俺のことを置いて自殺した瞬間に嫌いになった。父さんと同じくらい嫌いになった。伯父さんと俺は違う。伯父さんにとって母さんは被害者かもしれないけど、俺にとって母さんは加害者なんだ。」

「…。」

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