バッドエンドにさよならを
「サワ、ちょっといいか。」
放課後、サワを呼び止めた。
「…何?」
警戒の色を隠さないサワ。
「…ちょっと聞きたいことがあるだけだよ。」
確かに、前に比べたら離れている俺とサワの距離感に不満がないと言ったら嘘になるが、避けられるくらいなら、適度な距離で付き合える今の関係でいい。
それよりも、今俺が話したいことは。
「お前の母さんってさ…井上紗耶香っていうの?」
目を見開くサワ。何も答えない。
無言は肯定だと受け取っていいのだろうか。