バッドエンドにさよならを
『多分、許した方が楽になれるんだろうな。』
「え?」
『恨み続けても母さんは生き返らないし、お前の父さんは死んでるから、俺の恨みが届くことも、それによって苦しめることもできない。』
「…。」
『許さないということは、相手を苦しめると同時に自分も苦しむことになる。逆に許してしまえたら、相手を自由にしてしまうけど、自分も自由になれる。それでも俺の寄りどころは、恨む気持ちにしかなかったのかもな。許す勇気なんてなかった。』
「…そう。」
『俺がこんなこと言うのはあれだけど、ユウはまだ若いんだから前を見て生きた方がいい。』
「…おん。」
『大丈夫か?』
「大丈夫。ありがとう。」
電話を切り、ベッドに沈んだ。
「はあ…そろそろ蹴りつけないかんな…。」