バッドエンドにさよならを
点滴で少しむくんだ手。
表情はひとつも変わらない。
「サワ…?」
いつも安定していた心電図モニターの数値が乱れ始めた。
「サワ!?おいサワ!」
呼吸も荒い。
俺は慌てておばさんを呼んだ。
「ユウくん、落ち着いて。」
おばさんはサワに声をかけ、しばらく様子を見る。
「サワ、聞こえてる?ゆっくり呼吸して。大丈夫。大丈夫。」
「…あ。」
サワの目から一筋の涙が溢れた。
「サワ!…おばさん!」
おばさんは静かにサワを眺める。
「…生理的な涙かもしれないわ。感情的なものかどうかはわからない。」
しばらくすると脈拍は安定し、サワはまた眠りについた。