バッドエンドにさよならを
「…ああ、ちょっと過去にね…。」
おばさんは言いづらそうに目を伏せた。
「記憶喪失ってやつですか?」
「あら、聞いたの?」
「少し…。」
「…そうなのね。サワが小学生のとき、母親の恋人が事故で亡くなって、その現場にサワも母親も居合わせてたのよ。母親はショックで失神して、そのまま記憶もなくなって、」
そんなことがあったのか。
「今も記憶は戻ってない。でも、本能で覚えてるのかしらね。サワを見るとパニックを起こすのあの子。きっと事故の記憶が蘇るんじゃないかしら。サワは何も悪くないのに、可哀想ね。」
おばさんは悲しそうだった。