春色エクディシス
彼が微笑みをくれるようになったのはいつからか。

名前も、声も知らない。そんな彼が気にならないなんて、嘘だ。
でもそんな関心も、彼氏と彼の服がほど良く留めてくれる。

制服は、ダメ。

これはほど良い、3月の痛みだ。
今を変える必要は、まだない。

彼氏との出会いも、大学の図書館だった。
並んで勉強して、肌を合わせた。“図書館って、恋が始まる場所だと思わない?”なんて。

でも、役所の試験に合格した彼氏と、意地で司書にしがみ付いた私には壁がある。

キャリアとプライドに拘る私を、皆はバカにするけれど……。
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