隣の彼の恋愛事情
女子社員二人は、ひそひそと悪びれもせずに先ほどの’大声女’の悪口を言い始めた。

「神崎先輩に早く研修会場に来てもらわないと、準備の仕事、私の担当増えちゃう」

「そんなこと言って、毎回その先輩に面倒なこと押し付けてるくせに」

「ははは、バレちゃった?いいの、いいの。あの人鈍くてそういうの気がついてないし」

(あーうぜー。早く来るんじゃなかった)

時間が中途半端だった俺は、次のアポ取りを研修会場でしようと早めに研修会場に入っていた。

女が集まるとすぐ噂話と悪口だ。

これは「ゴホン」と大きめの咳払いをして、女子社員たちを黙らせた。

ちらっとこっちをみた女子社員はこそこそと

「誰あれ?どこ支店の人かな」

「ちょっと、今時あのメガネ何?オタク入ってるよね」

なんて噂の矛先を俺に変えた。

(はぁ女って、めんどくさい)

そんなことを思いながら、エレベーターに乗り込んだ。
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