隣の彼の恋愛事情
「ただいま~」

今日は早く帰れると言った斗馬が帰宅したのが、八時半。

(と、いうことは今日は店には顔だしてないかな?)

こんなことまでわかるようになってきた自分がうれしい。

エプロンで手を拭きながら、玄関に迎えに行くと、疲れた顔の斗馬が窮屈そうにネクタイを緩めていた。

「おかえり」

ひょこっと顔を出した私の顔をみて、斗馬が頬を緩ませる瞬間が大好き。

「疲れた~」


そういって、お玉を持ったままの私をギュッと抱きしめて、おでこにキスを落としてくる。

こうやって甘える彼の素顔を知るのは私だけだと思うと、それもまたうれしい。

(この素顔は誰にも内緒にしたいな・・・)

そんな風に思いながら、彼の腕の中で目を閉じる。
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