隣の彼の恋愛事情
「で、そろそろ斗馬さんをこちらにお返しいただけるのかしら?」

グロスで艶やかな、かわいらしい唇から聞きたくない言葉ばかりが紡がれる。

「返すって、斗馬はものではないです」

私は彼女の言い方にに少しいらだちを覚えて口調を荒げた。

「ふふふ、今日は嫌につっかかるのね。そろそろ覚悟を決めていただけたのかと思ったのに」

そういうと、運ばれていたオレンジジュースに口をつけた。

「今日は、結子さんの気持ちを聞きたくて来てもらったんです」

「気持ち?」

「はい、斗馬のこと好きですか?」

「好きか、嫌いかって言われれば好きよ。顔も綺麗だし、仕事もできる。家同士のつり合いも文句ないし」
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