隣の彼の恋愛事情
少し離れた場所から、植え込みを覗き込むような格好で彼が覗き込んできた。

そして私だと確認すると、小走りで走り寄ってきて、私の手を引っ張って立たせた。

「どうしたんだよ、どうして中に入らなかった?体も冷えて冷たくなってるじゃないか?」

心配顔で私を見つめる。

「あの、鍵忘れちゃって」

思いついた言い訳をする。

「それにしても、連絡くれればもう少し早く帰って来たのに」

ため息混じりに彼に言われて、申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
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