隣の彼の恋愛事情
***

「ほれ、これ飲んであったまれ」

斗馬がカフェオレの入ったマグカップをソファに座ってる私に渡してくれる。

「ありがとう。いただきます」

そう言って受け取ったあと、熱い中身を冷まそうと‘フーフ’と息を吹きかける。

「で、何があった?」

私の隣に座って、顔を覗き込んできた。

「ん、なんにも」

斗馬の顔が見られずに、机を見つめたまま首を横に振る。

「何にもないのに、お前は泣くのか」

私の顔を両手で抱え、親指で目じりをさすってくれる。

「ちょっとね、疲れたかな」

そう言ってから、マグカップを置き斗馬の胸に額をつけて両腕を背中にまわした。

斗馬はそっと私の背中をさすってくれている。

(今日は、このままいたい)
< 246 / 335 >

この作品をシェア

pagetop