隣の彼の恋愛事情
「チィ兄のそばにいたら、きっと大切にしてくれてこれ以上泣かないで済むんだと思う」

斗馬の手が一瞬こわばった。

「でも、私どんなに泣いても斗馬のそばを離れられない。諦められない。たとえ斗馬が誰と結婚しようと、それで辛くて毎日泣いていたとしても、それでもやっぱり斗馬の手しか私をドキドキさせられないの」

そこまで一気に言い切ってから、重ねるようにチィ兄にはっきりと言った。

「ごめんなさい。チィ兄はチィ兄だよ。私の初恋は初恋のまま胸にちゃんととってくね」

そうニッコリと微笑んだ。うまく笑えただろうか、自信がないな。

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