隣の彼の恋愛事情
「はぁ、最後なんだから邪魔すんなよ」
チィ兄が呆れた顔で斗馬に言う。
「最後だろうが、なんだろうが俺のもんに触られんの嫌なんだ。これでも譲歩したほうだ」
斗馬のいつものえらそうな態度が妙に安心感を与えてくれて、なんだかおかしくて笑ってしまう。
クスクス笑う私を見て、
「なに笑ってんの?」
ますます斗馬は不機嫌になったけど、それでも斗馬の腕の中にいることの喜びが体の奥から溢れてきた。
そんな私たちを見たチィ兄が、少し意地悪な顔でわらって
「三浦に愛想つかしたら、戻ってこいよ」
そういって斗馬の腕のなかの私の髪をクシャっとして、部屋の出口に向かった。
「いい加減諦めろ!俺がコイツ離すわけ無いだろ!」
そうチィ兄の背中に言葉をかけた
チィ兄は後ろ姿のまま私たちに右手をあげた。
(チィ兄、ありがとう)
最後に私はそう呟いた。