隣の彼の恋愛事情
アイツの後に続いて店内へ入ると、従業員が「お疲れ様です。」と声をかけ挨拶をするので、私も「お疲れ様です。」を挨拶を返した。

「なんでお前が挨拶するんだよ。」
プッと吹き出しながらアイツが言う。

「だって挨拶されたら返さないと。」

「つくづく庶民育ちだな。」
馬鹿にしたように返された。

（どうせ庶民ですよー！）

薄暗い店内をアイツのあとに続いて歩いていくと、そこは前回の個室とはまたちがった部屋だた。

「ここですか？私ならカウンターでも・・・」
そういうと
「俺がいやなの。それに俺が店内でいると従業員が緊張しちゃうでしょ？」

あぁ、そうか。
最近になって気がついたが、アイツは頭の回転がすこぶる速いし、私以外には上司や後輩などに関係なく紳士だ。何度も言うが私以外には・・・。
育ちの良さもあいまってスマートになんでもこなす。

（はぁ、私もアイツの上辺だけ知って生きていたかったよ）

そう思いながら促された席についた。
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