隣の彼の恋愛事情

はじめはイケメン仕様のアイツに多少の緊張をしていたものの、目の前に並んだおいしい料理を堪能していると、そんなことはすっかり頭の中から消えていた。

「う～～ん。おいしい。」
普段ならなかなか食べられない料理を口にして、思わず顔がニンマリとなる。

「ぷっ。」
向かいに座るアイツが私を見て吹き出し、肩を震わせながら笑い出した。

「何がおかしいんですか？」
軽く睨んで返す。

「いや、お前いつでもうまそうに飯くうよな。」
まだ笑いの余韻を残したままの顔で言う。

「人を食いしん坊みたいに言わないでください。」
思わず口を尖らせた。

「これでも褒めてるんだよ。ありがたく思え。」

（どれだけ俺様なんだよ。）

「これも美味いから食ってみろよ。あとこれもオススメ」

ニコニコしながら、私の方に次々と料理を勧めてくる。
確かにどの料理もおいしくて、その度に顔がほころぶ。

ふと、顔をアイツにむけると、頬杖をついたままニコニコとこちらを見ていた。

（あんまり見られると、食べづらいんだけど。）