隣の彼の恋愛事情
鳴り響く電話の音に、チカチカと株価の変動をしらせてくるPC。
アイツがメガネ鉄仮面からイケメン王子に職場でも変貌を遂げても、私の仕事の忙しさは変わらない。

ただ、下僕としての仕事が減少傾向にあった。
というのも、

「三浦さぁん。これ先に処理しておきましたよぉ。」
綺麗な巻き髪を揺らしながら、女子社員がアイツに書類を手渡している。
「ありがとう。助かったよ。」
さわやか王子スマイルを浮かべて、アイツが書類を受け取った。

私の下僕としての仕事の多くを、変わりにアイツに接触したい女子社員が変わりに行ってくれていた。

同時に私にはキツイ睨みをきかせて。

(あ~なんか面倒なことになってる?)

本来ならばこういうことに割と鈍い方だが、ここまであからさま且つ何度もとなると流石に気がつく。

隣の席にいて、色々と世話を焼いている(下僕として)のも気に入らないらしいが、あの飲み会の日に先に一緒に帰ったのが気に入らないらしい。

(平穏な職場生活がまたもや遠のいたな)
小さなため息をついて、気持ちを仕事に集中させた。
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