隣の彼の恋愛事情
いつもなら社食に向かう時間だが、気を使ってくれた早希から外のランチへ誘われた。

お気に入りのパスタ屋さんで、大好きなボンゴレを注文したがパスタを巻きながら大きなため息がでる。

「紅~大丈夫?なんか結構まいってるよね?」

心配そうに私を見つめる早希に精一杯の笑顔を見せる。

「今のところ実害はないけど、こういうのあんまり慣れてなくて。」

「まぁ、のほほんと過ごしてきた紅には結構きついかもね。」
そう言って、早希はきのこのパスタをほおばっていた。

「こういうやっかみは、知らん顔してるのが一番だから、嵐が過ぎ去るのをひたすら待つしかないよ。」

「でも、嵐に今でも吹き飛ばされそう。」

気弱なに呟く私に早希が心配そうな目を向けた。

「三浦さんに相談してみたら?」
「うーん。」

私の気のない返事に早希は何も言わなかった。

大体、こういうことをアイツに言ったところでどうなるというのだ?

下僕の私の立場など、アイツの知ったことではないはずだ。むしろ自分とは関係ないところで起こってる些細な出来事を面倒だと思うだろう。

(やっぱり、嵐が過ぎるのを待とう。)

深いため息を一つつき、いつもと変わらない美味しいはずのボンゴレを口に含んだ。

(美味しいはずなのに、味、全然しない・・・)


< 59 / 335 >

この作品をシェア

pagetop