隣の彼の恋愛事情
「俺に会いに来たんじゃないの?」

まっすぐに眼を見つめられた。

ここで無視して帰っても何の意味もない。

「今朝のこと、謝ろうと思って。」

うるんだ眼からは、うつむいてないと涙がこぼれおちそうだった。

「だったらなんで、話ししないうちに帰るんだよ。」

冷静に話をしているけどイライラしているのがわかる。

「結子さん、許嫁だって・・・・」

そう言った瞬間に握られていた手の力が一瞬ゆるんだ。

(ここで、動揺するんだ。)

これがアイツの肯定だと判断できた。

「邪魔しても悪いですし、私帰ります。今朝は申し訳ありませんでした。」

「ちょっと待て、俺の話は――――」
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