椿ノ華
「…月が綺麗…」
「ああ、そうだね」
暗闇に浮かぶ黄金の光。
「…ねえ、椿」
「何?」
「君には、婚約者は居るの?」
「婚約者…?そんなもの居ないわ」
「…良かった」
ほ、と息を吐いた壱。
「葵に居るから、妹の君にも居るんじゃないかと思ってたんだ。
君は自由に恋愛結婚出来るの?」
「さあ…縁遠い話だと思ってたし、ていうか私はまだ19歳だし…。
考えた事も無ければ聞いた事も無いけど、多分…」