椿ノ華
急に、真剣な目で告げられた。
「一目惚れだった。あのパーティーの日。
声を掛けたのは気紛れだったけど、振り向いた君に一瞬で恋をした」
「……」
「…君も同じ気持ちだって言ってくれるなら。
少なくとも、僕の事を好いていてくれるなら。
…君にキスする事を許して欲しい」
かつん、と、靴底が鳴る。
壱の繊細な指が椿の頬を撫で、憂いを帯びた瞳が捕らえる。
「……」
抵抗する理由は、無かった。
唇が重なる。