椿ノ華



「……」


唇が離れ、至近距離で見詰め合う。


「…はは、良かった」


ぎゅう、と抱き締められた。


「好きだよ、椿」

「…私も、壱さん」


壱の背中に腕を回す。

華奢に見えるが、大きな背中だった。







想いが通じた事が嬉しくて。

二人を見詰める嫉妬に満ちた視線には気が付かなかった。



< 104 / 243 >

この作品をシェア

pagetop