椿ノ華



「…ふぅ」


ちゃぽん、と、天井に溜まっていた水滴が湯船に落ちた。

不意に、月の下での壱とのキスを思いだし、唇に触れる。


「…好き、」

今まで、あまり恋愛とかしてこなかったけど…

壱さんの事は、自然と好きだって思える。

「…っ」


何だか恥ずかしくなってきたので、
手で掬ったお湯を顔にぶつけた。

勢いよく湯船から上がり、
さらっと髪や体を拭いて服を着る。

部屋に戻った椿が目にしたのは、


「…っお、お兄様…?!」



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