椿ノ華
「…でも、それなら、私が出来たのは?」
「ああ、…葵が生まれた3年後。二人は過ちを犯してしまった」
…過ち。
「啓志が結婚し、子供が出来た後も、
桜さんはこの屋敷で働いていた。
そしてよく啓志の相談に乗っていたらしい。
きっと君を身篭ったのは、
いつも通りに相談している夜だったんだろう」
…私は、一夜の過ちで出来た子だったんだ。
「二人共、何事も無かったかのように過ごしていたよ。
だが、桜さんはそうはいかなくなった」
「…私が、出来たから?」
椿の表情は、段々と曇っていく。