椿ノ華
「そして調べるうちに、桜さんの妊娠を知った。
それが分かった頃にはもう、君が生まれる少し前でね。
どうしても会いたいと、
子供を認知させてくれれば金銭的な援助くらいはしてやれるからと、
桜さんに連絡を取ったそうだ」
「…お母さんは、何て?」
「認知はしなくていい。だけど、一目この子に会ってくれと、
そう言ったそうだ」
母なら、そう言いそうだと思った。
「啓志が亡くなったのは、桜さんと…
生まれたばかりの君に会いに行く途中だったらしい。
事故でね。あいつも無念だっただろう」