椿ノ華



少し難しい英語の本だけど、面白いというのは知っていた。

ぱらぱらとページを捲り、さらりと読んでみる。


「…あれ、読んでたの?」

「あ、お帰りなさい。少しだけね」

「難しいのに、それ…」

「私、一応英文科だもの」

「ああ、そうなんだ」

「面白いのね。少し興味があったの」

「読み終わってからで良かったら、貸すよ」

「…ええ、ありがとう」


その約束は、叶わないけれど。



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