椿ノ華



最後の夜。

とても穏やかに、本や大学について話した。

他愛も無い雑談が、椿の心を迷わせていく。

「離れたくない」と、「傍に居たい」と、願ってしまう。


「…ああ、もうこんな時間か。そろそろ寝よう」

「ええ」

「僕はソファで寝るね」

「…え」

「一緒に寝る訳にはいかないから」

「…嫌、一緒に寝て?」


ぎゅう、と抱き着いて見上げる。



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