椿ノ華



「行くぞ」

「…はい」


ドアを開けられれば、素直に車に乗り込んだ。

続いて葵も乗り込み、車が走り出す。


「……」


最後の夜の思い出を胸に抱えて、成瀬川邸を後にした。


「…壱には抱かれたか?」

「…関係無いでしょう」

「まあ、俺はこれから好きなだけお前を抱けるからな」

「……」

「俺とお前は、今日から夫婦だ」

「…は?」


ずっと窓の外に向けていた視線を葵に移した。



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