椿ノ華



「兄と妹じゃない。夫婦、だ」

「…仰ってる意味が分かりませんが」

「其の儘の意味だが?」

「私達は兄妹なんですよ?」

「ああ、腹違いのな」

「…腹違いでも、血が繋がった兄妹です。

例え何処かの国に逃げたって、結婚は出来ません」

「ああ、そうだな。でも俺が夫婦だと言えば夫婦になる。

お前はそれに従っていればいい」

「……」


黙って葵を睨み付けた。


「最高だな、その顔」


葵は、動じずに微笑んで見せる。



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