椿ノ華



「今回は、俺の妻が迷惑を掛けたな。壱」

「…つ、ま?」

「若くして嫁に入ったせいか、少し俺に反抗的でね。

俺も甘くし過ぎた様だ…これからしっかり言って聞かせる」


俯いて、見えないように唇を噛み締める。


「…嘘、だろ?椿」

「残念だがら、嘘じゃない」

「妹だろ?!腹違いの兄妹って…」

「結婚した時、俺も彼女も若かった。

世間体の事を考えてそう言ってたんだが。

これからはこんな事が無いように、公表しよう」

「……」


信じられない、とでも言うような壱の表情がちらりと見えて。



< 154 / 243 >

この作品をシェア

pagetop