椿ノ華



「…見たかっただろうな、君の花嫁姿。

きっと綺麗だろうから」

「…ふふ、よく言われました」


もう、見せてあげられないけれど。


「…真実を知って、どう思った?」

「…母は、大変だったんだなと。

それでも私に弱みなんて見せなくて、改めて強い人だなって…」

「ああ、そうだな…」

「私、父親が居ない事に負い目なんて感じた事ありません。

頼れる親戚も居ないから、母は大変そうだったけど…

それでも、生きていく為に頑張っていた母を知ってるから」

「…桜さんも君も、美しくて強い女性だ」

「…そうだと、嬉しいです」



< 16 / 243 >

この作品をシェア

pagetop