椿ノ華



勢いよくドアが開いたと思えば、
声を上げたり抵抗したりする間も無く、
強く腕を引かれて。

視界が反転し、
誰かの背中でドアが閉まったのが見えたその刹那、


「会いたかった…!!」


よく知っている、腕の中に居た。


「…え、え…?」


耳元を掠める、愛しい人の声。


「椿…僕だよ、壱」

「…壱、さん…」

どうして…?

「圭から全部聞いた」

「!」



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