椿ノ華
「…椿さん、もし君さえ良ければ…
だが、一緒に住まないか?」
「…え?」
「私と、葵と、家族をやり直そう」
「……」
「葵にも是非会って欲しいんだ。
事情があるとはいえ、私達は家族だから」
"家族"という言葉が、やけに胸に染みた。
「この家に暮らすからと言って、君は何も心配する事は無い。
今まで通りに大学に通って、
辞めたくないならアルバイトも続ければいい。
ただ少し、生活に余裕が出来る。どうかな?」
…断る理由は、無かった。
ずっと居なかった、母以外の家族が出来るのだから。