椿ノ華



「大学もバイトも辞めた。壱という恋人とも音信不通。

お前の居場所は俺の居る此の屋敷だけだ」


葵は時折、こうして椿への独占欲を露わにする。


「…はい、その通りです」


否定出来るような言葉でもない。

その通りだと認める事は悔しいけれど、葵には逆らえなくて。

壱への危害が…という理由よりも、
葵の冷たい目線に耐えられない、という理由が大きかった。


「お前は俺のものだ。毎晩、お前の体に刻んでいる様に」


乱れた儘の襦袢から覗く、椿の体。

白い肌に刻まれた、紅い印や噛み痕は全て、
行為中の葵によるもの。



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