椿ノ華



裏庭にあるローズガーデンで、噴水を見ながらティータイム。

本を読みながら飲むアッサムティー。

葵が居ない昼下がり。

この時間が、屋敷での至福の時だった。


「椿様」

「あ…篠山さん」

「読書ですか。お風邪を引かれないでくださいね」

「はい、大丈夫です」

「椿様は、いつも違う本をお読みになられていますが…」

「ああ、私、読むの早いんです。

熱中するから、時間も忘れて読んじゃって」

「左様でございますか」

「おにいさ…葵さんが、たくさん本を買ってきてくださるし」


複雑そうに微笑んだ篠山。



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