椿ノ華
ぎゅっと手を握り、
「でも、恨んでなんかいませんわ。
ただ少し、寂しそうでした。
純粋に、祖父と孫として接したかったと」
「…私は、あいつと経営者として育てなければいけないと…
南十字の当主として、立派に世に送り出してやらなければいけないと…
それしか見えていなかった…」
「…はい」
「だが、今は…とても後悔している」
「……」
涙が溢れそうで、俯いた。
「…椿、私は…お前を引き取れて、
孫として一緒に暮らす事が出来て…本当に幸せだった」
穏やかに微笑む啓一郎。