椿ノ華
狂い咲き
「…あの、葵さん」
「なんだ」
葬式やら通夜やら、慌ただしく過ごしていた。
「…これ、お祖父様から…葵さんへの手紙です」
「……」
すっと着物の袖から取り出した、一通の手紙を差し出す。
手紙を受け取った葵の表情が、一瞬だけ歪んだ気がした。
「私にも、遺してくださいました。
…まだ、読んでないですけど」
俯いて、きゅっと唇を噛む。