椿ノ華
啓一郎と話し合い、真実を聞き、
家族をやり直すと決まった後。
取り敢えずは母の葬式を終えるまで、
引越しは先送りにしていた。
何も分からない椿の為に啓一郎が力を貸してくれたお陰で、
何の滞りもなく全てを終えた。
最愛の母を亡くした悲しみはまだまだ癒えそうにないけれど、
それでも、家族が居る。
そう思える事は、椿にとって幸せな事だった。
「椿さん、引越しは無事済んだかな?」
「はい。色々ありがとうございました。
今日からお世話になります」
「そんな堅い挨拶は要らないだろう、家族なんだから」
「…はい」
自然と笑みが溢れた。